2.先行研究と本研究の立場 2.1先行研究 中国と日本における小学校国語教科書の中の人物イメージについては、近年いくつかの文献により、統計調査が
2.先行研究と本研究の立場
2.1 先行研究
中国と日本における小学校国語教科書の中の人物イメージについては、近年いくつかの文献により、統計調査が実施されている。ここでは、先行研究の記述を取り上げ、以下のようにまとめる。
まず、傅(2004)は、中国小学校国語教科書の価値趨勢を知るため、人民教育出版社の『語文』を対象に、統計調査を行った。中国は愛国主義や貢献精神の育成を重視するということを明らかにした。また、張(2015)は心理学の角度から、中国小学校国語教科書の「名人化」の問題を分析した。「名人化」は道徳教育と生徒の心理健康には良くないと提示し、非名人の割合を増し、人物イメージを豊かにし、人物の時代性を重視するという三つの方策を打ち出した。更に、陳(2013)は統計調査の結果から、中国小学校国語教科書の中で漢民族の割合は高く、他民族はほとんどなく、人物イメージは教育指導要綱の要求を反映しているが、時代と現代人の必要人柄への反映は弱いということを明らかにした。そして、中国小学校国語教科書の中の人物の職業は主に軍人、政治家や文学者などの珍しくの職業だが、よく見る平凡な職業はほとんどない。また、王(2002)は日本小学校国語教科書の価値趨勢を知るため、『国語』を対象に、統計調査を行った。その結果から、『国語』は日常生活と平凡な人の感情を重視し、実践能力、表現能力や生活技能の育成を強調するということを明らかにした。つまり、日本及び日本小学校の児童社会化の思想を反映している。
小学校国語教科書の中の人物イメージの中日比較は非常に少ない。まず、小学校消費者教育の中日比較に関して、財津庸子(2017)と鄭天霞(2017)は統計調査を行っている。教科書比較では中国の教科書は知識中心で、日本の教科書は衣食住の内容の充実と実践的内容が多くみられた。また、唐(2011)は中国と日本における小学校国語教科書の中の文章を分析し、日本の教科書は中国より短く、読みやすい及び集団主義教育を重視すると指摘した。
2.2 本研究の立場
国語教科書の中の人物イメージへの比較分析は中国の教科書の編纂に大変有意義であると考えられる。本論では先行研究を踏まえ、中国と日本における小学校国語教科書の中の人物イメージについて調査を行う。更に、調査結果を分析し、両方の異同とその原因を考察してみる。
3.分析の骨組みと使用教科書
3.1 分析の骨組み
適切な分析の骨組みを建てるのは本研究の鍵であり、難点でもある。まず、人物イメージへの研究は常に文学分野の研究に集中している。文学作品の中の人物の言動への分析を通じて、人物の心構えと品質を探究している。例えば、魯迅の描いた少年閏土のイメージや蒲松齢の描いた一連の狐鬼妖の女性イメージなどである。しかし、文学研究の方法で教科書の中の人物イメージを分析するのは全面的ではない。心構えや品質は教育の重要な目的であり、決して唯一の目標ではない。同時に、教科書の中の人物が多いため。人物イメージの共通性をまとめなければならない。さもなくば、研究は煩雑さに陥る。また、教科書の中の人物イメージを分析する一部の研究者は、人物の価値趨勢から分析し、人物を道徳と非道徳の二種類に分けた。この分類方法には、ある程度で採るべき点がある。しかし、道徳と非道徳の分類方法は具体的でなく、一方、道徳と非道徳の区別基準を確立するのも難しい。道徳は何であるか?小学生はどのような道徳観を樹立するべきであるか?これらの問題へも説得力がある答えがない。