1.3先行研究 1.3.1国外における先行研究 田中洋(2003)は日本のブランド問題の本質的困難について研究し、日本企業では、「安心のブランド」から「信
1.3先行研究
1.3.1国外における先行研究
田中洋(2003)は日本のブランド問題の本質的困難について研究し、日本企業では、「安心のブランド」から「信頼のブランド」へ転化すべきことを提出した。「安心」とは、「不確実性が存在しない」状況において有効なものだという。「信頼」とは、「相手が利己的にふるまえば自分がひどい目にあってしまう状況で、相手が利己的にふるまうことはないだろうと期待すること」である。信頼のブランドであるためには、自社ブランドの過去の行動への認識も必要になってくる。田中洋はこうした我々の常識に正面から挑戦した。
カーステン・フィツシャー(2006)は資生堂の新しいマーケティングを紹介し、「新しい3ヵ年計画では、資生堂グループのブランドを育成し、強化する新しいマーケティング戦略を導入することは、広大な世界市場を国(面)単位ではなく、都市(点)の単位でとらえ、都市ごとに集中的に資金と資源を投入し、攻略的なマーケティングを展開する」と述べた。
1.3.2国内における先行研究
楊明子(2009)は日本トヨタ、資生堂二つの企業のブランド戦略について細かに分析し、日本企業のブランド戦略の特徴は優良品質の商品を通じて、しっかりとした基礎を打ち立てたうえ、大胆に新しいものをどんどんつくり出して、はるかに優勢を保つことであることがわかった。
范連雷(2006)は長い間ソニー会社の研究に取り組んできた。人々の飽くなき野望が彼らの「移り気」の本性で決めていることを説明した。ソニー会社の成功が大胆に創造性を発揮し、大胆に現状を変えつつあり、革新に取り組むことにあり、このような企業精神に見習うべきだと考えられる。
雷全林(2004)は資生堂とP&G二つのブランドを比較したうえ、それぞれの特色を見出し、資生堂成功の点は大変進んだ設備の有無ではなくて、市場調査をきわめて重視し、消費者の自分の消費記録まであり、いわゆる至れり尽くせりのサービスを楽しむできることと述べた。
ブランドカルチャーに関する先行研究は多角度からなされてきた。本論では、資生堂の発展背景及び企業理念、運営戦略を通じて、日本の企業経営戦略におけるブランドカルチャーを講じたい。
どのような問題についても、その表面にとどまらず、その裏面に目を向けなくてはいけないため、筆者は日本の経験を参考に研究したうえ、中国の実情を踏まえつつ、中国の企業経営戦略における問題を講ずるべき対策を提出してみたい。
2.ブランドカルチャーの理論研究
2.1ブランドカルチャーの定義と発展背景
ブランドカルチャー戦略の本質は差別化の競争戦略であって、企業が日々激しくなる競争環境の中、製品,技術,サービスなどがだんだん同質化する成り行きの下で、ブランドの構築によって差別化を図る戦略選択がある。ブランドカルチャーには製品と広告の二つの面が含まれているだけでなく、消費者、企業、競争者と社会大衆なども含めている。ブランドカルチャーは企業経営中の企業文化の現れであると言える。
ジョン・ボーエン(JohnBowen)(1998)は、「ブランドカルチャーにはブランドおよび創造者のイデオロギーというふたつの意味が包含されており、これは、即ちブランドの半分がカルチャーだ」と述べた。ブランドカルチャーイコール企業文化というわけではなくて、企業文化に属する。例えば、コカコーラは炭酸飲み物であるばかりでなく、アメリカの文化と精神をも表している。ロールスロイスが自動車としての意味を超えて、実際には名誉と地位のシンボルになっている。