第一章 青山七恵の「ひとり日和」と「やさしいため息」 1.1青山七恵の紹介 1983 年、青山七恵は埼玉県大里郡妻沼町(現熊谷市)に生まれた。小学生の
第一章 青山七恵の「ひとり日和」と「やさしいため息」
1.1青山七恵の紹介
1983 年、青山七恵は埼玉県大里郡妻沼町(現熊谷市)に生まれた。小学生の頃にはアガサ・クリスティーの作品を読んでいた。中学生の頃には川端康成や吉本ばななの作品を読んでおり、また、図書館司書になることを目指すようになった。1998年4月、埼玉県立熊谷女子高等学校に入学した。高校の時に、フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』を読み、小説を書きはじめるきっかけとなった。2001年3月、同校卒業同年4月、図書館情報大学図書館情報学部図書館情報学科に入学した。青山七恵は2005年3月、筑波大学図書館情報専門学を卒業した。ロストゼネレーションの最後に引っかかる世代であり、この世代以降就職難が常態化して今日の深刻な情勢に至っている。東京都新宿区の旅行会社に入社した。同年「窓の灯」で第 42回文義賞を受賞してデビューした。2007 年、「ひとり日和」で第 136 回芥川賞を受賞する。2009年、短編「かけら」で、第35回川端康成文学賞を受賞する。2012年から、群像新人文学賞選考委員を務めている。
1.2「ひとり日和」のあらすじ
第 136 回芥川賞を受賞した「ひとり日和」は青山七恵の第二部の作品である。「ひとり日和」の主人公は20歳の女性である。20歳フリーターの知寿が母の海外赴任を機に埼玉から都内の遠縁の親戚、70歳の吟子宅に居候する一年間が描かれた。幼いころ両親が離婚した後、高校教師の母と埼玉で二人暮らしている20歳の知寿には,高校卒業後の将来がわからない。生きることに無気力なわけではないのだが人と競争してまで生き抜く欲望は皆無で,具体的な人生モデルなど存在しない。勉強したいことがないので、 母親の期待に背いて大学へは進学しない。学費が無駄だと思う。これはある意味堅実な 浮ついたところがない態度である。小説は季節の転換をとしてを展開する。
主人公の三田知寿は、離婚した母と埼玉で2人暮らした。高校を卒業していた知寿はアルバイトを転々としているながら暮らしていったが、国語教師としての母が先生同士の交換留学ので中国に行くことになった。当然知寿も中国へ行かないかと誘われたが、東京に行きたいということで、断った。大学への進学は考えず、かといって物価も家賃も高い東京の生活 をしているのかは決めなかった。そういう知寿を見ると。母は東京にいる親戚のおばさんがいるのでその人の家に世話になりなさいと言い、知寿もしぶしぶ従うことになった。
そして、母と別れた知寿は東京の親戚のおばさんの家へとやって着いた。親戚のおばさんといっても、もう70歳くらいのおばあさんである。その親戚のおばあさん荻野吟子との生活を通じて、知寿は少しずつ成長していくという物語である。惰性で付き合っていた陽平との関係が終わった後、春から知寿はコンパニオンのバイトと駅のキオスクでのバイトを始めた。一方でおばあさんである吟子は、社交ダンスを習いながら、芳介さんという仲良しのおじいさんと良い関係にたった。知寿はかなり性格がひねくれていて、それでいてその自分のことを客観的に分かっている女の子である。芳介さんと仲良しで、おしゃれもする吟子に毒づいたり、軽い対抗感を示した。
そうして、知寿も新たな恋をした。恋人は駅でバイトとして働いている藤田君である。徐々に親密な恋人になった。さらには芳介さんと一緒に吟子の家で4人で食事したりすることもしばしばあった。恋もバイトも順調になった知寿は秋になると、藤田君の様子がおかしくなった。以前の彼氏である陽平と同じように、「惰性」という言葉がちらついたが、知寿は藤田君のことが好きで、関係を終わらせたくないと思っていた。しかし、関係を終わる決定の原因があった。それは、藤田君のバイトのところに、糸井というかわいらしい女の子が来るということである。糸井ちゃんと呼ばれている彼女は、知寿と藤田君の関係を知っていながら気さくに3人で遊びに行ったり、食事を誘ったりした。