ここ数年、先行研究を調べてみると、日本では結婚活動について研究文章が多いのがわかった。三輪(2010)は未婚者の属性分析、結婚活動の主体、結
ここ数年、先行研究を調べてみると、日本では結婚活動について研究文章が多いのがわかった。三輪(2010)は未婚者の属性分析、結婚活動の主体、結婚活動の効果を分析した。村上(2010)は男女別で、働き方と結婚意欲と結婚活動の三つの相互関係を分析した。今泉洋子、金子隆一(1985)も配偶者の選択の現状ー「結婚に関する人口学的調査」の結果からーの中で、配偶者の選択の機会、範囲、条件などについて説明した。以上の先行研究は日本の結婚活動について論じることは多いが、日本人女性の結婚活動を中心に研究する文章は少ないようである。したがって、先行研究を踏まえて、日本人女性の結婚活動に関する研究をしてみよう。
現在、日本では、これまでの少子化対策として、子育てしやすい環境づくりにつながる施策を中心とした取組みを進めてくる。しかしながら、これまで見てきたとおり、少子化の大きな要因の一つが未婚化、晩婚化の進行にあり、未婚者の約9割が「いずれは結婚したい」という意欲を持っていることから、少子化の流れを変えていくためには、従来の施策と併せて、結婚活動を実施していくことが有効だと考えられる。さらに、結婚活動を通して、地域の活性化や地域の人材が活躍できると期待されている。
本論文では、まず、現代日本の若年層における結婚·交際の状況に基づき、女性未婚者の結婚意識を考察する。そして、結婚活動の定義、種類、現状及び効果などを述べ、女性の結婚活動によるメリットとデメリットを重点に論述した上、流行っている結婚活動のインセンティブを探求してみる。
第一章 現代日本における未婚者の群像
及び女性未婚者の結婚意識
1.1現代日本の若年層における結婚·交際の状況
2009年、日本は若年層を対象にし、結婚・交際の状況の調査を行った。どれくらいの人が結婚しており、またどれくらいの人に交際相手がいるのかを、性別、年代別に分けて、定量的に確認しておくことは続く議論の背景をおさえるために、重要だと思われるからだ。
表1 性、年代別に見た結婚・交際の状況
離死別 既婚 未婚
交際相手あり 交際相手なし 不詳
交際経験あり 交際経験なし
男性 32~36歳:525人 2.9% 55.8% 9.1% 12.8% 15.0% 4.4%
27~31歳:337人 1.5% 39.2% 16.0% 20.5% 16.3% 6.5%
22~26歳:304人 0.0% 13.2% 29.6% 23.0% 28.6% 5.6%
合計:
1166人 1.7% 39.9% 16.5% 17.7% 19.0% 5.3%
女性 32~36歳:521人 5.2% 72.0% 6.7% 11.3% 3.3% 1.5%
27~31歳:403人 2.0% 48.6% 20.6% 18.1% 7.2% 3.5%
22~26歳:353人 1.4% 15.0% 36.5% 22.7% 16.4% 7.9%
合計:
1277人 3.1% 48.9% 19.3% 16.6% 8.1% 3.9%
その表1から見ると、20歳代前半では、結婚経験のある方(「離死別」及び「既婚」)はごく少数である。その後、30歳代に入ると、結婚を経験した人の割合がだいたい半数を超えるようになる。さらに、30歳代後半についてみると、約8割が結婚経験を有する。年齢の上昇に伴って結婚を経験した人の割合が増加する。つまり、若いほど未婚者の人数が多い。
そして、未婚者は交際相手の有無及び今までの交際経験の有無に分類される。「交際相手あり」という人が20歳代前半全体のうち、約2割である。この中から結婚へと転じていきがちであるため、年代が上げるにつれて、交際中の割合は徐々に少なくなっていく。結婚30歳代後半で、男女ともに「交際経験あり」と回答する人は2割ぐらいであるが、男女に「交際経験なし」(「交際経験あり」及び「交際経験なし」)で著しい差異がある。30歳代後半男性は2割、女性は1割と2倍近い差がある。これらの数値は1980年代時点での未婚率にだいたい相当する水準にあたる。そう考えると、日本の結婚、交際の状況がこの四半世紀にいかに大きな変化を経験してきたが再認識させられる。